ハナラボの角です。金曜の連載「考えるシリーズ」第6回は、「だまされること」について考えてみます。あんまり楽しい話ではないですけど。
オレオレ詐欺をはじめ、最近では色んなだまし方がありますよね。そのたびに、こんなのにだまされる人っているんだろうか?と思ってしまいます。でも、いるんですよね。例えば「警察が◯◯と言っているから」と言われたら、それを信じてしまう。本当だろうか?と疑うことがない。
それは、詐欺に限らず、日常生活にもあります。「あの人が◯◯と言っていた」と聞かされ、本当は事実とは違うのに、真実を自分で確かめずにだまされてしまう。かくいう私も、だまされた経験はたくさんあります。その中でも、未だに忘れられない「だまされた」経験について話したいと思います。
起業したばかりの頃、精神的にも経済的にも追いつめられていた時期がありました。どん底でした、本当に。何もかもうまくいかなくて、すがるものもない。でも、自分しかいないわけですから、立ち止まればすべてが止まってしまう。本当に苦しい時期でした。
そんなとき、信頼していた友人からある人を紹介されました。デザイナーで、とても感じのいい女性でした。その彼女が「角さんにぴったりのセミナーがあるんです。私もセミナーに参加して、ものすごく変わったんですよ。本当にいいセミナーだから出てほしい」と、何度も私に連絡をしてきました。
こんな話、聞いただけで怪しいですよね。でも、そのときの私は、何にでもすがりたい気持ちでした。怪しいと思う気持ちがなかったわけではないのですが、あまりに落ち込んでいたために思考が停止していたんですね。起業したばかりでお金にも困っていたのに、高額のセミナーに申し込んでしまったんです。
まあ、あとは想像つくと思うのですが・・・ぞっとするような「自己啓発セミナー」でした。自分の弱いところを無理矢理さらけ出すようにしむけられ、「自分に起こった変化を家族や大切な人に話しなさい。セミナー最終日には、大切な人を連れてきなさい。」と言うのです。つまり、大切な人をセミナーに勧誘しなさいということです。さらに、もっと多くの人を勧誘すれば、自分の成長に繋がると。
私に声をかけてきた彼女は、家族とともにそのセミナーを受けていて、私はその次の段階のターゲットだったんです。私がセミナーに申し込んだとたん、まったく連絡がなくなりました。私はとても落ち込んでいたので、彼女が親身になって心配してくれていたと思ってたんですよね。そのこと自体も、とてもショックだったのを覚えています。
これが私の「だまされた」体験です。こんな話をすると、「人を信じるな」という話になってしまいますが、そうではないんですよね。やっぱり、金八先生のいうとおり「信じられぬとなげくよりも、人を信じて傷つく方がいい」ですよ。けど、やっぱり「それは真実なのか」、ちゃんと自分で確かめないといけないわけで。バランスをとるのは、難しいですね。
自分の目で見たことは、信じられるよね。
[…] 2014年3月14日(金)「だまされること」について考える […]