美大ってどんなところだと思いますか?絵が好きな人が行くところでしょ?と思ってました、高校生の頃は。なぜだか、中学や高校の友だちで美大に進学する人が多く、友だちを見ていても「私が行くところじゃないな。間違いなく」と思ってました。
でも、人生ってわからないものです。働き始めてからWeb制作の仕事に関わることになり、「デザインについてちゃんと学びたい!」と思うようになりました。そして、武蔵野美術大学の通信教育課程に入学。晴れて美大生になったのでした。専攻したのは、デザイン情報学科のコミュニケーションデザインコース。美大なんだし、グラフィックデザインについて学べるだろうと、デザインスキルを身につけられるだろうと思っていました。
しかし、コミュニケーションデザインコースは、私が想像していたものとはだいぶ違っていました。「これまでのデザイナーは商業デザインが中心だった。でも、デザイナーの役割はそれだけではなく、社会のためにその力を活かすべきなのではないか。」そんな問題意識から生まれたコースだったのです(私が理解するに)。課題で問われるのは「自分の問題意識」です。それに加え、作品を通じて、社会や目の前の人とどういう関係性を作るのか。課題といえば、社会課題をビジュアルで表すポスターやNPOの紹介パネルの制作など、問題意識がなければ作れないものばかり。「社会課題をデザインの力で解決する」そんなことを考え続けた、学生時代でした。
美大の教育そのものにも驚くことが多々ありました。例えば、先生によって作品に対するコメントが全く違うのです。同じ先生でも昨日と今日でコメントが違うことすらありました。「ひどいじゃない〜!」と最初は思ったけれど、そもそも先生の評価で方向性を決めること自体、意味がないことですよね。誰のため、何を伝えるための作品なのか。つまり、自分で判断しないといけないってことなんですよね。色んな視点があり、どれが正解というわけではない。答えは自分で作ればいいってことなんです。
それまで受けていた教育では、ここまで自分で考えて答えを出すことを求められていませんでした。むしろ、自由は許されていませんでした。でも、美大では逆です。誰も答えを持っていない。自分で答えを出すしかないのです。美大の教育って面白い!!こんな面白い教育を美大だけのものにしておくなんて、もったいない!そんなふうに思いました。
そんなこんなで、美大で学んだことが「デザインシンキング」として、ハナラボに繋がっています。デザインシンキング(デザイン思考)そのものは新しい概念ではなく、デザイナーの世界では基本となる考え方なんですよね。そして、それが女子大生に馴染むんじゃないかと直感的に思いました。そこから、女子大生が社会課題を「デザインシンキング」解決するプロジェクト、ハナラボの発想が生まれたんです。それが形になるのは、しばらく後のことですが・・・。
[…] 「美大の教育って面白い!」という記事で、「デザインシンキングは女子大生に馴染むはず」と直感したと書いたのですが・・・最近、その直感を説明できるようになりました(笑)。 […]