低所得層のガールズ向けプログラムを訪ね、いざマンハッタンへ。
Sadie Nash Leadership ProjectとThe Lower East Side Girls Clubをじっくりと見せていただきました。
クリエイティビティを大切にしたプログラムが提供されているのは、NYだからこそ?
◇The Lower East Side Girls Club
Lower East SideはNYでは有名な貧困地域。なんと、公立学校に通う69%の生徒が貧困生活を送っており、高校を卒表できる子どもは50%しかいません。60%の子どもはひとり親。
そんな地域にとっても明るくてパワーあふれる場所があります。The Lower East Side Girls Clubです。
この拠点は、6年前に20億円!をかけて建設されています。すべて寄付で成り立っているというのだから、さすが寄付文化の根付いたアメリカですね。
拠点ができる前は、カフェや学校、映画館など地域の様々な場所を借りてプログラムを提供していたそうです。
さて、この団体が発足したのは21年も前のこと。当時男の子向けのクラブは3つもあったのに、女の子向けは1つもなかったことから、母親たちが主体となって作りました。
現在は、この地域に住んでいる、もしくは通学している中高生が1年間で300人ほど集まってきています。
◇裁縫、IT、写真から宇宙まで!全てに通じるのは、クリエイティビティ!
すべて無料のプログラムは50以上のクラスがあり、どれもワクワクするものばかり!
コミュニティスペースをぐるっと見学させていただいたのですが、とにかくオシャレ!いたるところにアートを感じます。
ガールズたちの興味にあわせて多種多様なクラスが開かれていました。
例えば、ビデオをつくってみたり。ラジオのパーソナリティーになることもできます。
起業プログラムの一貫としてTシャツをつくったり。近くの商業施設で作品を売るところまでガールズがかかわっています。
食育のプログラムや、プラネタリウムだってあるんです。
ethical, entrepreneurial, environmentalという3つのEを大切に、プログラムを組み立てているようです。
Girls clubでは、リーダーシップについて教え説くような場はありません。リーダーシップをひとつのものとして説明するのは難しいからです。
だからこそ、さまざまな実践からガールズたちは、それぞれのリーダーシップをみつけてゆきます。
My project というインターンシップに参加し、具体的なアクションを起こすガールズもいます。
例えば、住んでいる地域のバス停がなくなってしまったことを問題視して、議会に行ってみたり。まちの方にインタビューをしてみたり。
しっかりとその課題の専門家となれるよう、リサーチも行うそうです。
◇まちとつながるコミュニティへ
面白いのは artist in residenceの取り組み。アーティストはスペースを借りるかわりに、ガールズたちに教えて、作品も展示して。
さまざまな大人とかかわりあえる場所なのですね。
2020年には、もうひとつ建物ができる予定です。
こちらは、ウェルネスをテーマに、もっと地域に開かれたコミュニティとなる予定。ボーイズも、親の世代も、訪れることができます。
低所得層だからこそ、肥満や糖尿病、喘息は大きな社会問題ですが、このあたりの啓発活動が中心となります。
一方で、Girls clubはそのままに残します。ガールズだけを対象にするのはなぜ?ときいてみたところ、「ガールズのためのsafe spaceでありたいから」という答えがかえってきました。
◇Sadie Nash Leadership Project
同じく、ガールズにとってのsafe spaceであることを大切にしている、とお話してくださったのが、Sadie Nash Leadership Projectのみなさんでした。
訪れたのは、Queensというエリアにある学校。この学校を借りて行われていたのが、Sadie Nash Leadership Projectの運営する6週間のサマースクールです。
Sadie nashは学校の課外授業にジェンダーギャップがあるとの気づきをきっかけに2001年に立ち上がった団体。
参加者は、女子高校生。2018年には600人もの応募があったそうですが、全員とインタビューを行い、参加できる学生が選ばれます。
選考には、成績のよしあしは問いません。参加するガールズ自身の興味度合いが高いことが前提ですが、所得が低く他の機会にアクセスできない学生が優先されます。
参加者の大半は、はじめは内向的でシャイ、不信感さえ持っているとのこと。そんな彼女たちも、夏が終わった際には、自分の声で話して、表現ができて、自信を持てるようになります。
アクティビズムを学んだNasherたちは、学校での制服のルールを変えるなど、自分の学校・コミュニティでアクションを起こすこともあるそうですよ。
プログラムの内容は、①gender/raceなど権力と特権に関するもの②リーダーシップ③学校のような教科④クリエイティビティに関するもの、に大別されます。
例えば、クリエイティビティ-ソロパフォーマンスのクラスでは、自分をテーマに詩を書いてみたり、演劇をしたりします。
12回のクラスを通して、自分自身の弱い部分、センシティブな部分をさらけ出し、辛いことを話すことで経験を過去のものにして、新しい方向へと進む一歩になるそうです。
その他、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関するクラスもあることが印象的でした。プログラムを運営するうえで、大切にしているのは、安全な場所を提供すること。そして、経験に基づいた学びであること。
安全だからこそ、自由にアイデンティティを表現できますし、Nasher同士の連帯感をつくれるそうです。
「ありのままの自分でいることが大切!」そんなあたたかいメッセージを感じる空間でした。
◇ハナラボでいかしたいこと
・ハナラボも、ガールズにとっての安全な場所でありたい!
・アート×社会課題解決の可能性を知ったので、もっともっとハナラボでのプロジェクトでも推進したい!
◇◇◇
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