本をならべてモザイクアート

本をならべてモザイクアート

3000冊の文庫本で「世界最大級」のモザイクアートを制作する、壮大な企画です。イン パクトが大きいほど、大佛次郎を知ってもらえると考えたからです。(チーム marine)

大佛次郎は「本を買うために原稿を書いた」というほど本好きで知られています。『パリ 燃ゆ』の執筆のために、パリで本屋一軒分の書物を集めたという逸話も。現代では SNS、 電子書籍の普及などから、紙の本に触れる機会も少なくなってきました。そこで、「本を 読んで楽しむ」機会が少なくなっている今だからこそ、「本を使って楽しむ」イベントを 通して本を読むきっかけをつくりたいと考えました。「作って楽しい!見て不思議!」な「モ ザイクアート」と本を組み合わせたのが「本をならべてモザイクアート」です。

また、大佛次郎はナショナルトラストを日本に初めて紹介し、環境保全に尽力した人物。 モザイクアートに使用した本はブックオフオンライン株式会社に買い取っていただき、「よ こはま協働の森基金」に寄付することにしました。

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5000冊の本を集める

3000冊でモザイクアートを制作するためには、5000冊の本が必要です。大佛次郎夫妻の 写真を再現するため、ピッタリ3000冊では色が足りない恐れがあるからです。モザイクアー トを制作する上で、いくつか大きな課題がありました。

  1. どうやって本を集めるのか
  2. 集めた本をどうやって運搬し、保管するのか
  3. モザイクアートをどこで開催するのか

の3つです。本を送ってもらうにも、会場に本を運ぶにも、会場を借りるのにもお金がかか ります。でも、予算はゼロです。

①どうやって本を集めるのか

学生たちが本を回収してくれる施設を探し、ポスターと回収ボックスを設置し、本が集まっ たら回収することで解決しました。回収ボックスは、商店街、地域ケアプラザ、学校、図 書館、美術館、企業など、20ヶ所に設置。また、神奈川大学放送研究会の協力を得てプ ロモーションビデオを制作。本の回収に協力してもらえる人を探しました。

②集めた本をどうやって運搬し、保管するのか

YCC ヨコハマ創造都市センターの協力により、地下倉庫で保管しながら事前準備をする ことができました。また、運搬・回収に関するアドバイス、モザイクアート終了後の運搬 については、ブックオフオンライン株式会社に協力していただきました。

③モザイクアートをどこで開催するのか

10メートル以上の作品になるため、広くて上から撮影できる場所が必要です。横浜高速 鉄道株式会社の協力により、みなとみらい駅のコンコースでの開催が実現しました。横浜 中華街パーキング協同組合には、ご協賛いただくことができました。

1~3に関わる膨大な関係先にご協賛・ご協力いただけたのは、学生たちがわかりやすく 企画書を書いてプレゼンし、丁寧にやり取りした成果です。

事前準備が肝

途中でメンバーが抜けるという不測の事態を乗り越え、9 月末にはプレイベントとして、250冊の本でモザイクアー トを制作しました。制作では、事前準備が肝となります。

  1. 集めた本の表紙をスキャナーで読み取る
  2. アートの元 になる写真を選ぶ
  3. シミュレーションソフトで読み取っ た本の表紙を並べ替える
  4. 本に番号を振る
  5. 台紙に番 号を書く
  6. 本を並べる

という手順ですが、6以外はす べて事前に準備しておく必要があります。

そこで、本番前に小さい規模で試作することにしました。 実際に本を並べてみると、見え方の面白さは想像以上。こ れは成功する、そう確信できた試作でした。

それでも、250冊と3000冊では規模が違います。番号を 振り、台紙に番号を書くだけでも数日間を要します。事前 準備では、他のチームのメンバー、友人、家族、企業の方々 など、延べ30人が準備を手伝ってくれました。

本をならべてモザイクアート@みなとみらい駅

9月から11月にかけて、大佛次郎記念館、象の鼻テラス、横浜中華街パーキングで250冊 ~300冊規模のモザイクアートを制作。満を持して、11月28日にみなとみらい駅コンコー スで、3000冊の本を用いた「本をならべてモザイクアート」を開催しました。集まった本は、 約4800冊。目標の5000冊をほぼ達成しました。

朝、9時にスタッフが集まり、台紙を設置。10時にボランティアのみなさんが集まり、本 を一斉に並べ始めます。事前準備が完璧で、1時間も経たないうちにモザイクアートが完 成しました。感動の瞬間です。

15時半からは、使用した本を自由に持って帰っていただく時間です。ボランティアで参 加した人、新聞などでイベントを知って訪れた人、通りすがりの人が一緒になって本を一 生懸命選んでいました。目標としていた「参加者同士の交流を深め、本を読むきっかけを 作る」が形になりました。

新聞社2社にも取材を受け、翌日、大きな写真が紙面を飾りました。当日は、ヨコハマハ コいりムスメのメンバーも集結。夏休みを返上し、苦しみながらも最後まで諦めずに企画 を実現させた学生たちは、自分が想像していた限界を遥かに超え、これまでとは違う自分 に出会っていることでしょう。

回収協力・開催協力

株式会社日立テクニカルコミュニケーションズ
ブックオフオンライン株式会社
横浜高 速鉄道株式会社
NPO 法人横浜コミュニティデザイン・ラボ
横浜中華街パーキング協 同組合
YCC ヨコハマ創造都市センター ほか

集まった本の冊数と寄付額

集まった本の数:4797冊
寄付額:26,000円

メンバー

福岡麻里(神奈川大学3年)
本蔵紅奈(慶応大学1年)
西川絵里香(東京外国語大学3年 中間発表まで)

  • Date 2015年11月28日
  • Tags 神奈川県横浜市2015プロジェクト