女性が幸せなまちNo.1を目指せ!町長に事業提案プロジェクトがスタートしました。寒川町役場の女性職員の皆さんと女子学生の合同チームで、町長に事業提案します。
計画当初はすべて対面で開催する予定でしたが、コロナウィルス感染拡大により、すべてオンラインでの開催に。そのため、全6回、1日5時間のワークショップを確実3時間に短縮し、チームごとのワークを増やすなど、運営側も試行錯誤しながら進めています。
▼▼全体の流れ▼▼
1. オリエンテーション
2. インタビュートレーニング
3. リサーチ・インタビュー実践 ←今回はここ
4. 課題を捉え、解くべき課題を設定 ←今回はここ
5. アイデア創出
6. コンセプト作成
7. 企画書作成
8. プレゼンテーション
9. 振り返り
前回はインタビュートレーニングまで説明しました。ここからは、ミッションに向けてチームで実践していきます。
【3】リサーチ・インタビュー実践
リサーチ・インタビューはチームごとに行います。あらかじめ、職員のみなさんに取り組みたいテーマを考えてきてもらいました。例えば、子育て世代をエンパワーメントする、町の魅力を若い世代に訴求するなどです。初回のワークショップ(8/5)から2回目のワークショップ(8/12)の間に、テーマに沿ってフィールドリサーチやインタビューを実践して、持ち寄ってもらうことにしました。
グループごとに寒川町で集まり、リアルで初顔合わせしつつ、フィールドリサーチを行いました。百聞は一見にしかずで、話を聞くだけではイメージが掴めず戸惑っていた学生たちも、寒川町にグッと心が近づいた様子。チームメンバーと会えたことで、距離が一気に縮まりました。この先は会う機会がないため、貴重な1日となりました。
公園で直撃インタビューをしたチーム、じっくりと子育て中の女性たちに話を聞いたチームなどさまざまでしたが、各チームともたくさんのヒントを得たようです。
他のチームにも共有するため、リサーチした内容をスライドにまとめます。全体で共有することで、新しい視点を得ることが目的です。
まとめる際には、次の4点を分類するようにお願いしました。
- 事実
- 本人が感じている、寒川の課題・よいところ
- 望んでいること(働き方や暮らし方)
- 具体的なエピソード
2と3については、本人が話したことだけでなく、その言葉の裏側にあることも含めて考えてみます。本人が言葉にできていない、あるいは気づいていない心の声はどこにあるのか、それを探ることが大切です。
英国デザインカウンシルのSystemic Design Approachフレームワークに当てはめて考えてみると、「Design activities(デザイン活動)」の「Explore(探究)」に該当します。
【4】課題を捉え、解くべき課題を設定
いよいよ、2回目のワークショップです。まずは振り返りから始め、この1週間の動きを振り返ります。個人としてチームとしてよかったこと、改善すべきことなどを話し合います。
振り返りが終了したら、各チームからリサーチについてプレゼンしてもらいます。リサーチ内容も表現もさまざま。他のチームのプレゼンを見ることで、新たな発見、自分たちの特徴、そして自分たちに不足していたことに気づかされます。
問いの設定はなぜ重要なの?
テーマが決まってすぐにアイデア出しを始めがちですが・・・その前に問いを設定する必要があります。
まずは、手元にある材料を元に解くべき課題を探っていきます。本質的な課題はどこにあるのか、どんな価値を提供したいのか・・・それを見つけるために、現状の問題と理想の状態を描きます。問題は同じでも、その問題の原因となっている複数の課題のうち、どこにフォーカスするのか、あるいは、どんな理想を描くかによって解は異なります。だからこそ、問いの設定が重要なのです。
例えば交通において「どこに行くにも、夫に頼らないといけないのが苦痛。子どもは雨の中自転車で通学するのが大変」という問題があったとします。これに対して、理想の状態を「夫に頼らずに、自分も子どもも自由に移動する」にするのか、「子どもだけで移動できる」にするのかで、解決方法は異なりますよね。
「誰の」「どんな課題」を「どんな理想の状態」に変えたいの?
ワークショップでは問いの設定について説明したのち、「誰の」「どんな課題」を「どんな理想の状態」に変えたいのかを考えてもらいました。問いは一つではなく、複数考えます。一つの問いだけで進めると行き詰まる可能性が高いからです。もちろん、揺るぎない問いがあれば、一つに絞っても構いません。例えば、こんな感じ。
また、リサーチが不足しているなと思ったら、さらにリサーチを進めます。例えば、ユーザーだけでなく運営者にもヒアリングしてみると、なぜ問題が起きているのかを明らかにできるかもしれません。今、実現できていないということは、何らかの理由があるはず。物理的な理由なのか、固定観念が理由なのか・・・その理由を探ることも必要ですよね。
最後に、チームごとに発表してもらい、講師からフィードバックを行います。この時点では複数の問いが出ているので、次のワークショップまでに一つに絞り込んでもらいます。また、問いの設定と並行して、テーマに関連する国内外の事例を集めることを宿題としました。先進事例を知ることで、アイデア出しの大きなヒントになります。
英国デザインカウンシルのSystemic Design Approachフレームワークに当てはめて考えてみると、「Design activities(デザイン活動)」の「Reframe(リフレーム)」に該当します。問題を捉え直す、という意味ですね。
これで第2回目まで終了です。短い時間で詰め込んでいるように思えますが、だらだら考えていても結果は同じだったりします。まずは形にしてみて、うまくいかなければ次の手を考える・・・手探りで進めていくこと自体がデザイン活動なのです。
【教訓】
短い時間で結果を出すためには、それぞれがリーダーシップを発揮してディスカッションにコミットする必要があります。逆に、時間がないことで遠慮がなくなり、率直に意見を言い合えることも少なくありません。ただ、今回はオンラインかつ、職員と学生という立場の違うメンバーで構成されていたからか、遠慮して議論が深まらないということもありました。まだまだ工夫が必要ですね。
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